kenyamatecchanのブログ

途上国の現場のNGOの仕事、楽しいですか?

外から日本の人が来ることがあって、

「今の仕事楽しいですか?」

NGOの今の仕事は充実していますか?」

と聞かれて、答えに窮してしまう自分がいた。

楽しくないから辞めたいということとは違う。

いい子症候群的要素のある私は、そもそも楽しくないなんて考えてしまう自分はダメだと考えてしまいがちなんだけど、今回は正直に、なぜ楽しくないと思ってしまっているのか備忘録のためにも記しておこうと思う。

正直に吐き出すことは、究極的には環境を批判することではなく、その中でどう前を向いて行くかを模索するためのプロセスだと考える。

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1. 現在の途上国の現場でのNGOの仕事とは?

現在はケニアのド田舎、タンザニアの国境沿いの町にいる。首都のナイロビからは4時間半、住民のほとんどがマサイ族で、外国人は短期的に来る英国人のボランティアだけで、ほとんど見かけることはない。

そこで教育援助のプロジェクトに従事している。

私個人がやるべきことは、

・スタッフの統計能力の研修

・親との会議を開いて、親が地域のリソースを使って学校をどう良くしていけるか一緒に考える

・低学年の補習のモニタリング

・補習に使われる教材を専門家と相談して開発

・外部専門家と研修の実施

・教育データの分析

・親に教育に関するテキストメッセージを送る

・日本へのレポートの作成

などだ。

2. 途上国の現場のNGOの仕事はそもそも楽しいのか?

そもそものそもそも、仕事は楽しいことばっかりではないよね。

NGOの仕事だって、国連の仕事だって、商社の仕事だってやりたくない仕事をしなきゃいけなかったり、組織のしがらみや組織特有の人間関係がある。

ずっと楽しいことができる仕事なんてほとんどない。

それでも途上国の現場のNGOの仕事の特徴としては、

停電もある、美味しいイタリアンもない、気のおける日本の友人もいない途上国の田舎で、どろどろ・しがらみ・課題だらけの環境が途上国のNGOの現場の環境であると言える。

途上国の現場でNGO職員として働くということ - kenyamatecchanのブログ 

文化や価値観の異なる外国人、しかも誤解を恐れずに言えば仕事の遂行能力のない”ド”ローカルの外国人とローカルなしがらみやスピードの中で働くことになる。

またNGOは組織基盤が弱く、組織にも課題がいっぱいあったり、薄給で過酷な環境での仕事ゆえ良い人材も集まりづらく(自分自身も含めて)、ないものだらけの忍耐力のいる環境である。

そんなどろどろ・しがらみ・課題だらけの中でも

・ローカルの人たちと協力して何かを成し遂げたとき

・また成し遂げようとするその過程

・仕事を通じての自分の能力面での成長

に楽しみを感じることができると考えていた。

3. なぜ現在仕事が楽しいと純粋に思えないのか?

・成し遂げたものが見えない

1年プロジェクトに関わっているが、プロジェクトが何を成し遂げたのかわからない。

自分たちの努力が足りなかったせいももちろんあるだろう。一方プロジェクトの性格上、こちらが何かを投入するというよりかは、こちらが親や学校に働きかけて、彼らが事業の改善を図るボトムアップのアプローチゆえ、彼らを変えることができないと成果があがらないのだ。ケニアは援助依存が蔓延していることもあり、なかなかそのメンタリティーが変わらない。

 

・改善を志向する意志を同僚から感じなかった

今回のプロジェクトはローカルスタッフが事業立案に関わり、彼らはNGOのプロであると聞いていたが、実際に現場に入ってみると彼らはそこまで教育に興味がなく、事業の実施も専門家や日本人任せだった。そのくせお金のことにはうるさかった。

私は、マサイ族の困難な環境下にある子どもたちの学習機会を改善したいとケニアに意気揚々とやってきたが、この同僚の態度ゆえ徐々にその意欲がそがれていった。文化も言語も異なる人たちとワンピースやキングダムのように仲間と協力して、目の前の課題を乗り越えていくようなことは絵空事だったことに気づき、一人でやる気になっていた自分と周りとの温度差に肩透かしをくらい、自分はなぜここにいるんだろう、自分はここにいて意味があるのかと自問する日々もあった。

 

・レベルアップしている感覚がない

一年ケニアの現場にいて、自分が成長したという感覚がない。この環境下でも分析のスキルや教育の知識や思考の切り口を増やすことができたなら、楽しいと思えるかもしれないが、

毎日ロジや非効率なやり取りに終われ、自分が成長していると実感することができないのだ。

 

・仕事量が多くプライベートの時間が取れない

前述のローカルスタッフの協力が得られないこともあるし、そもそものスタッフの数が少なく、私に降ってくる仕事量が半端ない。土日も結構働く。

4月に戻ってきてから、息つく間もなく、ここまで来た。5月はまだどろどろ、しがらみ、課題だらけの今に向き合うことで楽しみを見つけたいと書くだけの心の余裕があった。

kenyamatecchan.hatenablog.comしかし今は正直その余裕があまりない。

これも以前書いたけど、NGOの職員は聖人ではない。

kenyamatecchan.hatenablog.com四六時中、国際協力のことを考えることはできない。

おしゃれなレストランで食事もしたいし、ゆっくり寝たいし、彼女とも一緒にいたい。

NGOの職員も普通の人と同じ。ただ自分のできる範囲で世界を少し良くしたいと思っているだけなのだ。

しかし現在は現場に缶詰で、途上国のド田舎生活を続けている。

自分は移動の自由がないのがストレスだ。

3か月に一回は違う国に行ったり、旅行をして新鮮な空気を吸わないと腐ることを発見した。

 

4. まとめ

途上国の現場で働きたいと強い思いを抱いてこの業界に入ってきたのだが、現在自信を持ってこの仕事楽しいです!と言える自分が正直いない。

ネガティブなコメントを吐いただけで、結局何が言いたいのだと思われるかもしれないが、今回はこのままで置いておきたい。

けれど自分の中で心の整理がついた(つける!)ときには、この「途上国の現場のNGOの仕事、楽しいですか問題」の自分なりの指針を続編として記す。

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